開けずの手紙ー完全版ー/長編呪い系ホラー【完結】
その3



「肝になるのは、やはり鬼島の一次念じと二次以降の呪いに相違があるのか否か…。なので、奈緒子さんの了解をもらえれば、国上さんの手元にある丸島の開かずの手紙を開封して、”中身の状態”を確かめたい。中の手紙に文字があるのかないのかを…」

「やって下さい、和田さん!是非とも」

「うん、じゃあ、さっそく…。それで、お父さんルートを遮断した水野さんには、いろいろ話を聞いてみようと考えててね。実は、彼と来週会うアポを取ってあるんだ。…どうかな、この際、奈緒子さんも一緒に彼から直に話しを聞いてみては…」

「はい、それは私からお願いしたいくらいですから…」

奈緒子はここでも間髪入れずに即答した。
二人は3日後、都内で水野と対面することになった。


***


”和田さんは、鬼島則人が産んだ呪いのスパイラルを断ちきらない限り、父の死は報われないと捉えててくれてた。お父さんの誇りを守ることを同じ教職者の立場、友人として…”

奈緒子は、元教え子鬼島則人への不適切な行為と、父が己へ自戒したこと、その延長で鬼島の呪いを自身までで留めようと命を懸けた壮絶な決意を完全に切り分けていた。

娘としてではなく、同じ高校教師として…。

”お父さん…、長い間、私が父親として拒絶していたあなたへの教師というプライド、家族を支える自ら選んだ職業への誠実さはこの私が証明させるわ…”

野坂奈緒子は会ったことなどない、鬼島則人という故人に改めて挑戦を誓った…。

”あなたの所業…、許せない!”と…。





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