開けずの手紙ー完全版ー/長編呪い系ホラー【完結】
その4
翌朝…、野坂奈緒子の勤務校である、都内西部某市郊外にある都立K高校の職寝室…。
「おはようございます、手嶋先生…」
「ああ、野坂先生…、おはようございます」
二人はいつものように、職員室で朝のあいさつを笑顔で交わしあった。
***
「先生、昨夜はご苦労様でした。和田先生からはお話伺いましたので…」
「そうみたいですね。…正直、応えました。信じられない…、それが本心です。でも、野坂先生のお父さんはあの手紙を受け取って…、結局ああいったことになったのなら、自分はやはり頭ごなしに否定はできません。なので…」
この時、4歳年下の後輩教諭である手嶋のそのやるせない表情に、”あの”理不尽極まりない手紙で父を失うという壮絶な苦しみを味わった他ならぬ奈緒子は、そんな彼が不憫でたまらなかった。
「和田先生と私は、自分たちのできることを精いっぱいやるつもりです。手嶋先生も理不尽な気持ちはあっても、目の前の生徒たちには…、お願いします。ぜひ…」
奈緒子にしては規格外に歯切れの悪い言葉であった…。
***
「野坂先生は芯が強いんですね…。お父さんのことを乗り超えて、同じ苦しみに苛まれる生徒たちに寄り添う気概…。自分はそこまでは、ちょっと無理かな…」
「手嶋先生、ですから、”できること”でいいんですよ。私達は人から先生と呼ばれても、所詮は市井の凡人です。背伸びしないと高校教師などやっていけませんが、それでも限界はありますから。私は等身大の背伸びで留めるように心がけています。ですから、そんなスタンスで一緒にやりませんか、この学校で…」
「えっ?何をですか、野坂先生…」
奈緒子はここで何ともな笑顔を手嶋に投げかけ、その問いかけに答えた…。
翌朝…、野坂奈緒子の勤務校である、都内西部某市郊外にある都立K高校の職寝室…。
「おはようございます、手嶋先生…」
「ああ、野坂先生…、おはようございます」
二人はいつものように、職員室で朝のあいさつを笑顔で交わしあった。
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「先生、昨夜はご苦労様でした。和田先生からはお話伺いましたので…」
「そうみたいですね。…正直、応えました。信じられない…、それが本心です。でも、野坂先生のお父さんはあの手紙を受け取って…、結局ああいったことになったのなら、自分はやはり頭ごなしに否定はできません。なので…」
この時、4歳年下の後輩教諭である手嶋のそのやるせない表情に、”あの”理不尽極まりない手紙で父を失うという壮絶な苦しみを味わった他ならぬ奈緒子は、そんな彼が不憫でたまらなかった。
「和田先生と私は、自分たちのできることを精いっぱいやるつもりです。手嶋先生も理不尽な気持ちはあっても、目の前の生徒たちには…、お願いします。ぜひ…」
奈緒子にしては規格外に歯切れの悪い言葉であった…。
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「野坂先生は芯が強いんですね…。お父さんのことを乗り超えて、同じ苦しみに苛まれる生徒たちに寄り添う気概…。自分はそこまでは、ちょっと無理かな…」
「手嶋先生、ですから、”できること”でいいんですよ。私達は人から先生と呼ばれても、所詮は市井の凡人です。背伸びしないと高校教師などやっていけませんが、それでも限界はありますから。私は等身大の背伸びで留めるように心がけています。ですから、そんなスタンスで一緒にやりませんか、この学校で…」
「えっ?何をですか、野坂先生…」
奈緒子はここで何ともな笑顔を手嶋に投げかけ、その問いかけに答えた…。