開けずの手紙ー完全版ー/長編呪い系ホラー【完結】
その3
「それで…、あくまでも丸島のケースではありますが、今日の明け方に美咲さんが見た夢は、彼が最初に見た夢とほぼ同様だと思うんです…」
「じゃあ…、私、手紙の封が開かなくても呪われちゃうんですか!」
美咲はもう涙目であった。
「いや、実際には今の夢は予兆夢であって、呼び寄せ夢出はないんだ。これも丸島の時は3回、そのくびれ柳の場所が出てくる夢を見た後、呼び寄せ夢で手紙を読まされたようなんです」
和田は敢えて、端的に言った。
敢えて…。
「…ですから、おそらくはあと2回はね。何しろ、こっちも並行して動いています。本件をメインで取り組んでいるアライブの鷹山さんも、霊能力者の国上さんも、日々前に進んでいます。あと2回までの間には、美咲さんに手紙を読まさせない手段をなんとか用意するつもりです。ですから、この手嶋には、毎日気になったことが起これば即、伝えて欲しい。いいね、美咲さん…」
「はい…」
さすがに見咲きの返事は弱々しいものがあった。
隣の母親が、そんな娘の手を不憫そうにぎゅっと握っている…。
和田と手嶋は、その姿をしっかりと目に刻んでいた。
***
この後、少し間を取ってから、和田は口調をややゆっくりとさせて、三浦家の不安を少しでも緩和できる”例の件”を話し出した。
「美咲さん、お父さん、お母さん…。私は明日、野坂奈緒子さんと一緒に、神奈川に住んでいる水野さんという、丸島の高校時代の同級生に会うんです」
「…」
「その水野さんは、丸島が百夜殺しを耐えた一晩分の一人、つまり、彼が自ら命を断つ直前に開かずの手紙を送りつけた人物なんです。つまり、手紙を受け取って生存している方になる」
「本当ですか!」
美咲は素直な性格だったのだろう。
和田のその一言で、笑顔を浮かべ、やや腰を浮かせて飛び上がらんばかりだった。
「それで…、あくまでも丸島のケースではありますが、今日の明け方に美咲さんが見た夢は、彼が最初に見た夢とほぼ同様だと思うんです…」
「じゃあ…、私、手紙の封が開かなくても呪われちゃうんですか!」
美咲はもう涙目であった。
「いや、実際には今の夢は予兆夢であって、呼び寄せ夢出はないんだ。これも丸島の時は3回、そのくびれ柳の場所が出てくる夢を見た後、呼び寄せ夢で手紙を読まされたようなんです」
和田は敢えて、端的に言った。
敢えて…。
「…ですから、おそらくはあと2回はね。何しろ、こっちも並行して動いています。本件をメインで取り組んでいるアライブの鷹山さんも、霊能力者の国上さんも、日々前に進んでいます。あと2回までの間には、美咲さんに手紙を読まさせない手段をなんとか用意するつもりです。ですから、この手嶋には、毎日気になったことが起これば即、伝えて欲しい。いいね、美咲さん…」
「はい…」
さすがに見咲きの返事は弱々しいものがあった。
隣の母親が、そんな娘の手を不憫そうにぎゅっと握っている…。
和田と手嶋は、その姿をしっかりと目に刻んでいた。
***
この後、少し間を取ってから、和田は口調をややゆっくりとさせて、三浦家の不安を少しでも緩和できる”例の件”を話し出した。
「美咲さん、お父さん、お母さん…。私は明日、野坂奈緒子さんと一緒に、神奈川に住んでいる水野さんという、丸島の高校時代の同級生に会うんです」
「…」
「その水野さんは、丸島が百夜殺しを耐えた一晩分の一人、つまり、彼が自ら命を断つ直前に開かずの手紙を送りつけた人物なんです。つまり、手紙を受け取って生存している方になる」
「本当ですか!」
美咲は素直な性格だったのだろう。
和田のその一言で、笑顔を浮かべ、やや腰を浮かせて飛び上がらんばかりだった。