開けずの手紙ー完全版ー/長編呪い系ホラー【完結】
その5
「よし、ナビの予想じゃあ、あと15分ほどで到着だ。奈緒子さん…、これからの展開は読めない。下手したら修羅場になるかも…。あなたは外で待っていた方がいいかな」
「いえ、私も同伴します。ぜひ、一緒に…」
「奈緒子さん…」
信号待ちしていた間、和田は奈緒子の顔を凝視していた。
今となりに乗っている30そこそこの女教師は、それこそよちよち歩きの頃から知っている、親友の娘だ。
まして、彼女は幼い頃からごく最近…、それこそ丸島がこの世を去るちょっと前まで、何かと杓子定規で融通の利かないカタブツ高校教師を貫徹していた父親を敬遠していたのだ。
***
そんな彼女が、思うところあって父と同じ高校教諭の道を歩み、今では結婚して一児の母親にいたった。
そして今、父親の運命を変えた正体不明の元教え子、故鬼島則人の家族に自分と一緒に面会すう…。
それもアポなしの飛びこみだ。
”あの奈緒子ちゃんと、まさかこんな危険極まるロードを共にするとは…”
和田の胸には、万感の思いが津波のように押し寄せていたに違いない…。
「和田さん、信号青になりましたよ」
奈緒子はにっこり笑って、前方を指していた。
***
「…そうだったんですよね。父に手紙が届いた日、鬼島則人の家には和田さんが電話してくれたんですよね?」
「鬼島のおふくろさん、電話の感じじゃあ、フツーの人だったかな。最後は大泣きしてね。慌てて電話を切った…」
「ふう…、あの日、私はリカを連れて実家にきてたんだわ。泊りがけで4日ほどのあの間、父と朝、通勤電車の中でいろいろ話して…。なんか、長く二人の間にあった靄が払いのけられたような気がするんです。なのに…」
”そうさ!あの時、やっと奈緒子さんは丸島を受け入れたんだ…。クソッ!…このことを思いだすと、鬼島のヤロウを許せない気持ちで体の血が逆流しそうだ。しかし、今日会うのは残された家族なんだ。冷静にならないと…”
そして、和田の運転する愛車は目的地到着のコールを発し、ついに二人は諸悪の権現である鬼島則人が暮らし、壮絶な自刃自殺をはかった自宅前に到着した…。
”明かりはある。家族はいる。ならば、何としても鬼島の正体を突きとめてやる!”
かくして、野坂奈緒子と和田は、謎に包まれた鬼島則人の闇に飛びこむこととなる…。
「よし、ナビの予想じゃあ、あと15分ほどで到着だ。奈緒子さん…、これからの展開は読めない。下手したら修羅場になるかも…。あなたは外で待っていた方がいいかな」
「いえ、私も同伴します。ぜひ、一緒に…」
「奈緒子さん…」
信号待ちしていた間、和田は奈緒子の顔を凝視していた。
今となりに乗っている30そこそこの女教師は、それこそよちよち歩きの頃から知っている、親友の娘だ。
まして、彼女は幼い頃からごく最近…、それこそ丸島がこの世を去るちょっと前まで、何かと杓子定規で融通の利かないカタブツ高校教師を貫徹していた父親を敬遠していたのだ。
***
そんな彼女が、思うところあって父と同じ高校教諭の道を歩み、今では結婚して一児の母親にいたった。
そして今、父親の運命を変えた正体不明の元教え子、故鬼島則人の家族に自分と一緒に面会すう…。
それもアポなしの飛びこみだ。
”あの奈緒子ちゃんと、まさかこんな危険極まるロードを共にするとは…”
和田の胸には、万感の思いが津波のように押し寄せていたに違いない…。
「和田さん、信号青になりましたよ」
奈緒子はにっこり笑って、前方を指していた。
***
「…そうだったんですよね。父に手紙が届いた日、鬼島則人の家には和田さんが電話してくれたんですよね?」
「鬼島のおふくろさん、電話の感じじゃあ、フツーの人だったかな。最後は大泣きしてね。慌てて電話を切った…」
「ふう…、あの日、私はリカを連れて実家にきてたんだわ。泊りがけで4日ほどのあの間、父と朝、通勤電車の中でいろいろ話して…。なんか、長く二人の間にあった靄が払いのけられたような気がするんです。なのに…」
”そうさ!あの時、やっと奈緒子さんは丸島を受け入れたんだ…。クソッ!…このことを思いだすと、鬼島のヤロウを許せない気持ちで体の血が逆流しそうだ。しかし、今日会うのは残された家族なんだ。冷静にならないと…”
そして、和田の運転する愛車は目的地到着のコールを発し、ついに二人は諸悪の権現である鬼島則人が暮らし、壮絶な自刃自殺をはかった自宅前に到着した…。
”明かりはある。家族はいる。ならば、何としても鬼島の正体を突きとめてやる!”
かくして、野坂奈緒子と和田は、謎に包まれた鬼島則人の闇に飛びこむこととなる…。