開けずの手紙ー完全版ー/長編呪い系ホラー【完結】
呪いマニアの正体
呪いマニアの正体①
鬼島家は比較的閑静な住宅街の一角で、古びた2階建ての一軒家だったが、敷地は狭く駐車場はなかった。
だが…、やはり、和田の目からは陰鬱な空気を発してるように感じられた。
和田は通行の支障にならないように道路わきへ車を着けると、カバンを手にして、奈緒子と共にドアの外へ出た。
「奈緒子さん、丸島の手紙のコピー一式は持参しています。家族にはストレートに話しましょう。後は向こうの出方次第だ」
「ええ。心得てます」
「ホントに、大丈夫なんですね?お父さんの運命を狂わせた張本人の遺族ですよ、これから会うのは…」
「大丈夫です。ご家族を前に取り乱すことはありません」
「ふう…、奈緒子ちゃんは強いなあ。じゃあ、行くか!」
奈緒子は無言で頷き、和田の後に続いた…。
***
意を決した二人は、早足で空っぱなしの門を抜け、玄関前に立った。
半歩後ろに立つ奈緒子を振り返り、軽く会釈をした後、和田はドアチャイムを鳴らした。
20秒ほどして、玄関の中に明かりが点いた。
”来た…。よし、当たって砕けろだ…”
元ラガーマンの和田はまさにゴールへに突っ込む心境だった。
***
玄関ドアがゆっくりと三分の一程度開いたところでそれは視界に入っ、にゅーっと言う感じで、白髪交じりのこじんまりしたその顔は女性…、どう考えても母親のようだった。
「どちら様でしょうか…」
母親らしき年配の小柄な女性は、さすがに訝しそうな顔つきで尋ねてきた。
「夜分、すいません。亡くなった鬼島則人さんのことで伺いたいことがありましておじゃましました。失礼ですが、お母さまですか?」
「…」
”間違いない!電話で一回だけだったが、あの声だ…”
和田はこの時点で、目の前の女性が鬼島の母親であると確信していた。
鬼島家は比較的閑静な住宅街の一角で、古びた2階建ての一軒家だったが、敷地は狭く駐車場はなかった。
だが…、やはり、和田の目からは陰鬱な空気を発してるように感じられた。
和田は通行の支障にならないように道路わきへ車を着けると、カバンを手にして、奈緒子と共にドアの外へ出た。
「奈緒子さん、丸島の手紙のコピー一式は持参しています。家族にはストレートに話しましょう。後は向こうの出方次第だ」
「ええ。心得てます」
「ホントに、大丈夫なんですね?お父さんの運命を狂わせた張本人の遺族ですよ、これから会うのは…」
「大丈夫です。ご家族を前に取り乱すことはありません」
「ふう…、奈緒子ちゃんは強いなあ。じゃあ、行くか!」
奈緒子は無言で頷き、和田の後に続いた…。
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意を決した二人は、早足で空っぱなしの門を抜け、玄関前に立った。
半歩後ろに立つ奈緒子を振り返り、軽く会釈をした後、和田はドアチャイムを鳴らした。
20秒ほどして、玄関の中に明かりが点いた。
”来た…。よし、当たって砕けろだ…”
元ラガーマンの和田はまさにゴールへに突っ込む心境だった。
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玄関ドアがゆっくりと三分の一程度開いたところでそれは視界に入っ、にゅーっと言う感じで、白髪交じりのこじんまりしたその顔は女性…、どう考えても母親のようだった。
「どちら様でしょうか…」
母親らしき年配の小柄な女性は、さすがに訝しそうな顔つきで尋ねてきた。
「夜分、すいません。亡くなった鬼島則人さんのことで伺いたいことがありましておじゃましました。失礼ですが、お母さまですか?」
「…」
”間違いない!電話で一回だけだったが、あの声だ…”
和田はこの時点で、目の前の女性が鬼島の母親であると確信していた。