開けずの手紙ー完全版ー/長編呪い系ホラー【完結】
呪いマニアの正体⑤
「…息子は小さいころからごく普通でしたよ。幼いころ父親に家を出て行かれ、ずっと母一人子一人でしたが、周りから見たら何も問題のない親孝行な子だろうって…」
「…」
ついに鬼島の母の口から世にも恐ろしい呪いマニア、鬼島則人生い立ちに関わる告白タイムが始まった…。
***
「…でもあの子、何一つ得意なこととか、それこそ趣味とかもできなくて…。それでも、周囲には普通に接して、友達も少なくなかったです。それが、高校を卒業したころから、徐々にですが陰にこもるようになっていきましてねえ…」
この段階で、もう和田と奈緒子はキョトンとた表情で、頷くことも忘れ、母親の話を無言で聞いていた。
「それでも周りからは好かれてるって印象はそのままで、誰もあの子の心の内は計れなかったんでしょうね。私の方は、生活も苦しいし、則人が高1の時、縁があって再婚したんです」
「彼は反対しなかったんですか?」
ここでやっと、和田が質問した。
「条件を一つだけつけましたが、他は何も言いませんでした。ここで一緒に暮らした3年間も、仲良くやっていました。実の親子のように…」
「3年間…、ですか?では、お父さんは…」
ここでは奈緒子がごく素朴な疑問をぶつけた。
***
「亡くなりました。交通事故で…」
和田と奈緒子は再び顔を見合わせた。
この時の二人には、この3年間で事故死という端的な事象自体も、なぜか聞き流せなかった。
「そうですか…。それで、息子さんの再婚条件っていうのはどのようなことだったんですか?」
「生命保険に加入することです。私を受け取り二人として…。金額の5000万円も条件にしてました」
「!!!」
キター!!
これが、この時の二人の偽らざる心の叫びであったに違いない…。
「…息子は小さいころからごく普通でしたよ。幼いころ父親に家を出て行かれ、ずっと母一人子一人でしたが、周りから見たら何も問題のない親孝行な子だろうって…」
「…」
ついに鬼島の母の口から世にも恐ろしい呪いマニア、鬼島則人生い立ちに関わる告白タイムが始まった…。
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「…でもあの子、何一つ得意なこととか、それこそ趣味とかもできなくて…。それでも、周囲には普通に接して、友達も少なくなかったです。それが、高校を卒業したころから、徐々にですが陰にこもるようになっていきましてねえ…」
この段階で、もう和田と奈緒子はキョトンとた表情で、頷くことも忘れ、母親の話を無言で聞いていた。
「それでも周りからは好かれてるって印象はそのままで、誰もあの子の心の内は計れなかったんでしょうね。私の方は、生活も苦しいし、則人が高1の時、縁があって再婚したんです」
「彼は反対しなかったんですか?」
ここでやっと、和田が質問した。
「条件を一つだけつけましたが、他は何も言いませんでした。ここで一緒に暮らした3年間も、仲良くやっていました。実の親子のように…」
「3年間…、ですか?では、お父さんは…」
ここでは奈緒子がごく素朴な疑問をぶつけた。
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「亡くなりました。交通事故で…」
和田と奈緒子は再び顔を見合わせた。
この時の二人には、この3年間で事故死という端的な事象自体も、なぜか聞き流せなかった。
「そうですか…。それで、息子さんの再婚条件っていうのはどのようなことだったんですか?」
「生命保険に加入することです。私を受け取り二人として…。金額の5000万円も条件にしてました」
「!!!」
キター!!
これが、この時の二人の偽らざる心の叫びであったに違いない…。