開けずの手紙ー完全版ー/長編呪い系ホラー【完結】
その3



「…鷹山さん、この封筒を開封する前に、お二人から今日の話を伺います。そのあと、ここで開封し中のモノを検分をしましょう」

「ええ。じゃあ、和田さん、お願いできますか?」

「わかりました…」

和田は右隣の奈緒子に顔を向けながら、カバンからボイスレコーダーをとり出しすとテーブルに置いた。

「では、水野洋輔さんとのやり取りは、録音してありますので、まずはこれを聞いてください」

ここで約1時間半、和田と奈緒子が水野から聞ききとった全容が4人の前で再生され、その後、鬼島の母親からの話の報告と続いた。


***


「…ということで、最後に、その封筒1通をお母さんから預かってきた訳なんですが、帰り際には涙を浮かべて、罪深い息子を頼むと…。そう託されました‥」

「なるほど…。ふう…、とにかく和田さん、奈緒子さん、本当によくやってくれました。いやあ、予想をはるかに超える収穫ですよ。さて…、国上さん、お二人からはそう言うことだそうです」

「ええ…。鷹山さんの言う通り、これだけの”材料”を持ち帰っていただいて、私からもお二人には感謝申し上げますよ」

「いえ…。鬼島宅へは別途伺うつもりでしたが、何しろこちらの女子高生のことを考えると、一刻も猶予は許されないと思いまして。まあ、ダメもとだったのですが…、奈緒子さんの誠意が母親の心を開かせたおかげです」

「いえ…、私はただ…」

そう言って謙遜する奈緒子の姿を、この場の3人は目を細めて見つめていた。
そう…、去年、この3人は鬼島から開けずの手紙を受け取った奈緒子の父、丸島友也を呪いから救おうと全力を尽くしていたのだ。

しかし、その最中に丸島は自ら命を絶ち、結果的に彼の命を救うことはできなかった。

その丸島の娘がこうして戦いの輪に自ら進んで加わってくれた…。
3人にとっては、感慨ひとしおだったに違いない。






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