開けずの手紙ー完全版ー/長編呪い系ホラー【完結】
その5


かくて、鬼島の”挑発状”は開封された。
中には、便せんが1枚だった。

以下は、鬼島の残した自ら発効した呪いの拡散に立ちはだかる人間たち、”挑戦者”へ向けた全文である。


***


敬愛なる挑戦者の皆さまへ


私、俗名、故鬼島則人が実行に移した壮大なプロジェクトの進捗状況は、いかがでしょうか?

無論、あなた方は、このプロジェクトの拡大を阻止・撲滅させる目的で、この書面を手にしていることでしょうね。

ついては、皆さんの健闘を願う一助として、この文面を提供いたしますので、”熟読”ください。

まず、私は”全部”を塗り替えようとは思っておりません。

第一義は、生前に磨いた”特技”の腕を、思う存分に振るう一大計画を展開したいと…、これが肝です。

しかしながら、私のその計画を受け入れることなど到底できないであろう、”そちら”でお暮らしの皆さんには、本プロジェクト阻止にがんばってもらわないと、私の練りに練って実行した本プロジェクトは本当の意味を成さないのです。

私は、皆さんの打つ手を読んで、さらなる次と、いくつもの仕掛け、重装備を施しましたから。

頑張って、撲滅にチャレンジして下さい!

知恵と推測と行動を以って。

私は、一世一代のこの仕掛けに絶対の自信を持っていますが、本一大計画は、みなさんに”かまって”もらうことが必須なんです。

本プロジェクトに巻き込まれた人間たちによって繰り広げられる、いろんな人間ドラマを私は見たいのです。

それが最大の楽しみといっても過言ではありません。

なので、いっぱい、いっぱい、スリリングで刺激的な展開を生んでくれることを期待しています。

私はその展開の中での、多くの人間による出会い・発見・達成・生産・奇跡・覚醒の様を見届けさせていただきます。

従って、その為には、この文面を手にしているみなさんの奮闘が不可欠なのです。

あなたたちにかかってまーす!

ぜひ、ぜひ‥、私が本プロジェクトに”装備した全機能”を引き出してくれることを願い、バイバイ…。


ある故人


ー以上であったー





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