開けずの手紙ー完全版ー/長編呪い系ホラー【完結】
その5


そして”当日”は来た…。
雨天ではなかったが、風はやや強かった。

午後7時25分、和田の運転する車が公園脇に到着すると、国上既に車の外で、持参物一式をトランクから取り出している最中だった。

”バタン…”

和田と手島はほぼ同時に車を降りた。

「国上さん、お待たせしました。…ああ、こいつが元教え子で、今は奈緒子さんと同じ高校で教師をやってる手島です」

「手島です…。国上先生、三浦美咲の件ではいろいろご尽力いただいて、本当にありがとうございます」

「手島先生、国上です。今日はよろしくお願いします。皆で三浦さんを救ってあげましょう」

「はい…」

「じゃあ、早速校庭内に入リましょう。柳の下でひと通り打合せ合わせして、すぐかかります…」

和田と手島は無言でうなずき、それぞれ荷物を手にし、K高校の正面に小走りして向かった。


***


校門の前まで移動後、まず和田と国上が素早く校門をよじ登って校庭内に侵入を完了した。

「よし、手島。荷物を静かにこっちへ手渡せ」

「了解…」

3人は周囲に気を配りながら、数十秒で荷物を校庭内に持ち込んだ。
その後、手島が校門を乗り越えて、そのままくびれ柳の元へかけて行った。

「これですか…」

手島は咄嗟に柳の大木を見上げた。

「やっぱり気味悪いな…」

「手島、あんまり見ない方がいいぞ。さあ、段取りを確認しよう。国上さん、お願します…」

「では…」

国上は2分程かけ、ざっと施術の進行を二人に説明した。

「なら手島、近所の人とかに見つかたら、今言った手筈でな…」

「わかりました。じゃあ、門の外で、張ってますの」

手島は校門に向かって走って行った。


***


「…和田さん、さっそく始めましょう。清酒を私が回る方向に沿って、少量ずつ根本に撒いて下さい。ゆっくり3周します」

「わかりました」

午後7時42分…。
かくて施術は、くびれ柳の根元を清める作業から始まった…。





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