かくも激イカレなオンナたち❷/”どうしてくれるのよ、この熱っ狂しい血…ってこと!”

”ノリヒトさん…。私と何の接触も全くないのにもかかわらず、私を呪われ手に指名した人間は、一昨日の松川で6人になりました。前の学校で私を無視したり、いじめてた人間は皆自分の命が惜しいばかりで、今頃になって私にアイソをてんこ盛りで振りまいてきます”

”どいつもこいつも、自分より弱い人間には平気で残酷なことできちゃうのに、自分が困った時ばかりへえこらです。私はこれからも、奴らの心の卑しさに天誅を与え続けます!”

久留田ナナミは、まだら膨れクヌギに向かって報告を済ませ、オリジナル呪い手の故鬼島則人へ体を捧げた…。


***


その夜、ナナミの家では親子3人、すき焼きの鍋を囲んで楽しい夕食のひと時を過ごしていた。

「そうか…。アサコちゃんの家に誘われたのか?はは…、よかったじゃないか。お母さん、ナナミには何か手土産でも持って行かせてくれるか」

「ええ、わかったわ。ナナミ…、あなた、転校してお友達もできて、すっかり明るくなったわね。お母さん、嬉しいわ」

母親の咲江は修実学園に転校してからの娘の変貌ぶりに、喜びを隠せなかった。

”この人たち、私が前の学校でどんなに苦しんでたのか知ってたの?いじめられて死にたいって言ったって、頑張れとかって他人でも言えることしか口にしないで、私をいじめ、村八分にした連中のことを、私と一緒に憎むこともできなかったくせして…‼”

「わあ、このお肉おいしい。お母さん、高かったんじゃない~、これ…?」

ナナミはごく自然に、明るいスマイルで両親と鍋を突きあった…。


***


深夜、午前零時ちょうど…。
ナナミは自室でいつもの”飛び見”にかかっていた。

ベッドの上に座り、目を閉じて、その意識を闇の彼方に放る。
きわめて端的な行だった。

やがてまだら膨れクヌギにとんだ意識はそこを介して、呼び寄せられし者を見定める。

だが…、今夜の訪問者は見覚えがなかった。

そして、その少女の名を本人の意識から読み取った。

”城田史奈…?利害関係なしの地元の子か…。かわいそうに…。でも、あいにく(?)今は順番待ちなのよー。しばらくは予期夢となるわ。よかったわね~、城田さん!ヒヒヒ~~”






ー本話完ー




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