光の中の闇と闇の中の光

絶望

自分が井龍様のことを好いていることに気づいたすみれ。


しかしながら相手も相手で叶いそうもない相手。


絶望のど真ん中にあるのだ。


(ヤバイヤバイヤバイヤバイ）


そんな言葉が私の頭の中で鎮座していた。


「どうしよう...」


思わず声が漏れた。


「どうしたの？お　ね　え　ち　ゃ　ん」


らんに聞こえていたらしい


バレたらとんでもないことになる。


そう思ったらすみれの口からは一つの言葉しか出てこなかった。


「なんでもないよ。」


「ふぅん」


どうやら疑いながらも追及はやめたようだ。


(助かった～)


すみれは一人の時間だけが心休まる時だった。


らんの前では従順な召使いをしなければならない。


クラスの人や他人には悪女を演じなければならない。


そのため、すみれは随分前から『死にたい』と思うようになっていた。


だけど、もしかしたらシンデレラみたいに助けてくれる人が現れるかもしれない。


そんな一縷の希望にすがりたくて今まで生きていた。


けれども、そんな希望も最近になってはだんだんと消えて行っている。


すみれの体と心は限界に近づいていた。