鈍くてかわいい私の親友。



その子たちはそそくさと出て行った。
言い返すこともできないくせに、陰口なんてみっともないのよ。

こういうところは姉の方がマシだわ。
姉は言いたいことがあるなら本人に直接言うから。…まあそれがまた火種になるんだけど。


* * *


その翌日。登校したら上履きがなかった。
色んな意味で驚いた。上履き隠すなんて漫画でしかないと思ってたから。
こんな低レベルな嫌がらせ、本当にあるのね。

もちろんこんなことでへこたれる私ではない。
速やかに職員室へ行ってスリッパを借りた。


「あれっ、桃ちゃん上履きどうしたの?」
「壊したの」
「壊した!?」
「そう。靴の裏がパカって外れちゃって」
「そんなことあるの。あちゃ〜」


チラッと咲玖の上履きを見たけど、特に何もされてないみたい。それならよかった。


「咲玖、変なことがあったら私か九竜に言いなさいよ」
「変なこと?」
「絶対だからね」
「それって、学校来る途中にハクビシンがものすごい勢いでお魚咥えてたの見たこと?」
「なんて?」


思わず噴き出してしまったじゃない。
ほんとにもう、こっちは真剣なのに毒気を抜かれるっていうか…。


「ほんっとにかわいいんだから」
「えっ?」
「頭にばかがつくけどね」
「それほめてないよね?」


< 6 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop