隠れ御曹司の愛に絡めとられて
目が覚めたら
「……ん、」
――まどろみからゆっくりと覚醒していく。
うー、頭が重い……。
ああ、そうだ、昨日、飲みすぎたんだっけ……。
ズキ、と痛む頭を押さえようと腕を動かそうとするけれど、腕が重くて動かない。
もしかするとここはまだ夢の中なのかも知れない。
身体が重いのは、きっとそのせいだ。
けれど、昨夜飲みすぎたのは夢ではなくて、本当のこと。
その記憶はちゃんとある。
それに、なんだかいつもより暖かいのに、背中のあたりがスースーする……。
もしかすると窓を開け放したまま眠ってしまったのかも?
真冬なのに……風邪ひいちゃうじゃん。
私ったら、どんだけ酔ってたんだか……。
そう考えながら、重い瞼をゆっくりと開いた。
「………………は?」
目の前の光景が信じられず、私は口をぽかんと開けたまま、そんな間抜けな声を出した。
二日酔い確定の私の目に飛び込んできたのは、薄暗闇の中でも分かるほど綺麗な顔をした男で……。
…………えっ、ええ?
私の腕が動かなかったのは、その、綺麗な顔の男の腕が、私をしっかりと抱き締めているからで……。
なんなら、私もその男に足を絡めて抱きついている状態で……。