隠れ御曹司の愛に絡めとられて
――そのあと結局ふたりでボトルをもう一本開けて、深夜を迎えた。
メープルくんはやっぱり普段から飲み慣れてるからか、顔色も態度も、ほぼいつもと変わらない。
「もうすぐ日付、変わっちゃうね」
「う、ん、そうだね……」
「僕はそろそろ帰らなきゃ、ね……?」
「……帰るの?」
「ふふ、帰るよ。亜矢さんが『帰れ』って言ったら、ね?」
「……」
帰って、って、言わなきゃいけないよね。
だってこのままだときっと……私の狭いベッドで一緒に朝を迎えることになる。
本当にそれでいいの……?
一夜を共にする心の準備、出来てるの……?
今度こそ本当に身体を重ねることになるかもしれない、それでもいいの……?
自問自答していると、彼の手が伸びてきて……私の頬に触れる。
「ふふっ、亜矢さん、頬が赤い」
「……」
「もしかして、結構酔ってる……?」
「そんなことない……」
……嘘。
実は結構酔ってる、多分。
だってなんだかふわふわするし、暑いし、熱い。