隠れ御曹司の愛に絡めとられて

「――ねぇ、少しは警戒して……? 僕も一応、男だから。酔ってるからってそんなに可愛い顔されたら、我慢できなくなる」

「!?」

「まあ、このまま僕に抱かれてくれてもいいんだけどね?」

「は、はあっ!? なっ、なに、言ってんの……っ!?」


私は彼の身体をグイっと押して、慌てて彼から離れる。

うっかり流されてしまうところだった。

ほんと私、何やってんの……!?

なんですっかり彼のこと受け入れちゃってんのよ!?

チャラい男はお断りだったはず!


私は動揺してるのに彼は、「ふふっ、亜矢さん可愛い」なんて笑ってるし……。

余裕過ぎてムカツク。

やっぱり手練れなんだ。


「ふふっ。……さーてと、片付けますか」

「……え、ええっ?」

「あ、亜矢さんは座ってて。僕が片付けるから。ね?」

「い、いいよっ、あとでやるから……」

「だめです。散らかしたまま帰れません~」


ああ、一応帰る気はあるんだ。

そうだよね、そうじゃなきゃ困る。


私、自分が思ったよりも相当酔ってるらしい。

もう一度彼に「亜矢さんは座ってて」と言われ、大人しくソファに沈む。

それを確認した彼は、てきぱきと片付けを始めた――。

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