隠れ御曹司の愛に絡めとられて
一緒に住むことで彼が被るデメリットが大きすぎて、首を縦に振るという選択ができそうにない。
私だけがおいしい思いをするのはどう考えたって不公平だ。
私のために用意してくれていたらしい部屋着に身を包みカエデくんの元へと行くと、美味しそうな料理をたくさん用意して私を待っていてくれた。
相変わらずとても美味しくて、本当にしあわせな気分になる。
カエデくんは天才すぎる。
自分には絶対に出来ないから、ますます強くそう思う。
デザートまで美味しくいただいて、一緒に後片付けをしながら楽しくおしゃべりをして……。
こんな風に毎日穏やかに過ごせたらきっととてもしあわせで楽しいだろう。
「……それでさぁ、亜矢さん」
「うん、なに?」
「もう、今日から一緒に住むのでいいよね?」
「……はい??」
「亜矢さんの借りてる部屋にある荷物はゆっくりこっちに運んでくれればいいから」
「……ええ??」
「……ん?」
いやいや、「ん?」じゃないのよ。
どうしてそうなる……?