隠れ御曹司の愛に絡めとられて

「おかしいおかしいっ。私の意見も聞こうよ!?」

「いいじゃん。一緒に住んだ方が、毎日こうやってイチャイチャ出来るよ?」


布巾でテーブルを拭いていた私を、カエデくんが後ろからギュッと抱きしめる。

耳元で「ね、どう?」と甘い声で囁かれて一気に体温が上昇した。

心臓に悪い。

普段はその辺でふわふわ可愛さを振りまいてるのに、こうやって一気に距離を詰めて密着してくるの、本当にズルい。


「一緒に、住もう?」

「でも……」

「亜矢さんは何が気になってるの? 僕と一緒に住むの、不安?」

「そ、そうじゃないけど……」

「ん?」


後ろから私を抱きしめたまま顔をのぞき込まれ、すぐ真横にカエデくんの綺麗な顔が迫る。


「気になってることがあるなら遠慮なく言って?」

「それは、その……」

「ん?」

「私、カエデくんの足手まといにしかならないし……」

「え、なんで?」

「だって……料理出来ないし」

「だからそれは僕がやるってば」

「それに、仕事を優先しがちだし」

「体を壊さない程度なら問題ないよ? もちろん僕のこともちゃんとかまってね?」

「そ、それはまぁ、もちろん……」

「ふふっ。はい、じゃあ決まりっ。えへへ、やったー」

「……」

< 181 / 227 >

この作品をシェア

pagetop