隠れ御曹司の愛に絡めとられて

しばらく貪るようなキスを繰り返したあと、気が済んだのかようやく私の唇を開放してくれた。

やっと自由に呼吸ができるようになって、私は荒い呼吸を繰り返す。

カエデくんは普段は見せることのないやたらと艶っぽい表情で私を見下ろしていて、ゾクリとした。


「……亜矢さん、可愛くて色っぽいの、ズルい」

「え、え……？」


その言葉はそっくりそのままお返ししたいんだけど、と言おうとして口を開きかけた時、服の裾から侵入してきた彼の手が私の肌をするりと撫でた。


「……っ」


声にならない声が出て、それを聞いたカエデくんがクスクスと笑う。

笑いながら私の首元へ唇を落とすものだから、くすぐったいのか気持ちいいのかよく分からず、また変な声が出そうになるのを必死にこらえた。


「……亜矢さん」

「な、に……」

「声、我慢しないで」

「……やだ」


カエデくんの要求に首を横に振って拒否をすると、頭上でカエデくんがクスリと笑った。

表情はちゃんと微笑んでいるのに目の奥が全く笑ってなくて、なんとなく嫌な予感がした。


「ね、え、カエデくん、」