隠れ御曹司の愛に絡めとられて
「……ね、え、カエデくん……っ、やめ……っ」
昨晩さんざん彼に全身を可愛がられたおかげで、私の弱い場所はきっと全て知られてしまっただろう。
耳もそのひとつで……、彼は焦らすように私の耳介に舌を這わせる。
「……まっ、てっ」
普段は従順な忠犬のようなのに、この手の行為に限っては待てと言って待つような男じゃないと昨晩知った。
普段とのギャップに目を回したのはつい数時間前のことだ。
彼を押しのけようとしたけれど全く効果はなくて、それどころかあっさりと手を拘束されてしまう。
「ねえ、カエデ、くん……っ」
「……なに? ふふ、もう、欲しい……?」
唇を寄せたまま耳元でそう囁かれ、思わず上ずった嬌声を上げてしまった。
くすくすといたずらっぽく笑む音や息づかいさえも私を昂ぶらせるには十分で……。
抗議をするはずがすっかりカエデくんに翻弄されて、私の口から漏れるのは甘ったるく恥ずかしい声ばかり。
違う、と口にしたところで彼の手にかかればそんな言葉は何の意味もなさなくて、結局ただただ快楽を求めて彼に縋りつくしかない。
そのままなすすべもなく彼の思うままに何度も何度も上りつめて……、最後は彼と共にベッドへと沈んだ――。