隠れ御曹司の愛に絡めとられて
結局その後「出勤前に一緒にシャワー浴びたいな~」と無邪気に言う彼に騙されて、半ば朦朧とする頭で頷いたのがまずかった。
心地良さと気だるさで身体が動かせない私を軽々と抱き上げた彼は、そのままバスルームへと私を運ぶ。
「洗ってあげるね」なんて言われて身を委ねた結果、彼に全身をくまなく洗われたあと、やっぱりもう一度彼と深く繋がることになってしまったのは言うまでもない。
カエデくんが用意してくれた朝食を食べ終えて時計を見ると、時刻は9時を回ったところだった。
「ね、今日、仕事、ちゃんと行くよね?」
「ん? うん、行くよ?」
「……そう、なら良いけど」
「亜矢さんも早く支度して?」
「……ええ?」
なんで私が、支度を……?
意味も分からず、バスローブを身に纏ったままクローゼットへと連れて行かれる。
戸惑っている私を尻目に、彼は女物の服が掛けられているエリアで洋服を選び始めた。
ワンピースを手にとっては、うーん、と唸ったり、似合うね、と頷いたり。
「ねえ、カエデくん」
「んー? なぁに?」
「なんで私まで……?」
「ん? 僕の仕事、知りたいでしょ?」
「う、ん、そりゃまぁ……」
何着も私の前にかざしては戻し、次を取ってかざしては戻し……を繰り返して、淡い水色のワンピースに決めたらしい。
それを元に下着まで選んで、「はい、着てみて」と嬉しそうに私に手渡すカエデくん。