隠れ御曹司の愛に絡めとられて
彼の勤務先は住んでいる雑居ビルから徒歩で数分らしい。
勤務先に向けて並んで歩いているところだ。
すぐ迷子になるから、と言われて、またしても私の右手は彼に拘束されている。
絡む指に意識を持って行かれそうになるのをなんとか耐えながら、彼の職場までの道のりの風景を記憶することに集中する。
足を止めるのと同時に「着いたよ」と言われて、ハッとして顔をカエデくんへと向けた。
誇らしげに「ここが僕の職場」と指さした先は、とても雰囲気の良いカフェだった。
意外なような気もするし、しっくりくるような気もする。
「……ここ?」
「うん、そうだよ」
ふんわりと優しく笑うカエデくんに、心臓がなぜだかぎゅうっとなる。
この子の笑顔はあまりにも心臓に悪い。
どうぞ、と促されて開店前のカフェのカウンター席の片隅に座り、私は店内をぐるりと見渡した。
シックで落ち着いた雰囲気の店内はとても居心地が良い。
なるほど、彼はいつもここで働いているのか。
出会った当初に想像していたものとはあまりにも違って、改めてとても失礼な思い込みをしていたことを反省する。
勤務先に向けて並んで歩いているところだ。
すぐ迷子になるから、と言われて、またしても私の右手は彼に拘束されている。
絡む指に意識を持って行かれそうになるのをなんとか耐えながら、彼の職場までの道のりの風景を記憶することに集中する。
足を止めるのと同時に「着いたよ」と言われて、ハッとして顔をカエデくんへと向けた。
誇らしげに「ここが僕の職場」と指さした先は、とても雰囲気の良いカフェだった。
意外なような気もするし、しっくりくるような気もする。
「……ここ?」
「うん、そうだよ」
ふんわりと優しく笑うカエデくんに、心臓がなぜだかぎゅうっとなる。
この子の笑顔はあまりにも心臓に悪い。
どうぞ、と促されて開店前のカフェのカウンター席の片隅に座り、私は店内をぐるりと見渡した。
シックで落ち着いた雰囲気の店内はとても居心地が良い。
なるほど、彼はいつもここで働いているのか。
出会った当初に想像していたものとはあまりにも違って、改めてとても失礼な思い込みをしていたことを反省する。