隠れ御曹司の愛に絡めとられて

私が「ありがとう」と返すとカエデくんはニッコリと営業スマイル。

普段の仕事ぶりをちゃんと見せてくれてるのだと分かって、ますます彼のことが愛おしくなった。

カエデくんの仕事はもうこれで終わりらしく、私が「お疲れ様」と言うと、いつものふわふわの笑顔になって、やっぱり好き、って思ってしまう。

……重症だ。


カエデくんは着けていたカフェエプロンを外して私の隣に腰を下ろした。

近くの女性客がチラチラとこちらを見ているのを感じ、やっぱり彼はモテるんだと実感する。


「このカフェ、いつからあるの?」

「えっとね、二年ぐらい前だよ」

「素敵なお店だね」

「でしょ?」

「カエデくんは、キッチン担当?」

「そう。メニュー考えるところから始まって、調理・盛り付けまで」

「へえ、そうなんだ。本当に料理が好きなんだね」

「うん、好き。本当はね、営業職に行かないかって言われてたんだけど」

「……そうなの?」

「うん。でも断った。僕がやりたいのはこっちだから。今はランチだけだけど本当は夜もメニューを出せるようにしたくて。他にもいろいろやりたいことがあって、それを含めていま上に企画書を出してるところ」

「そっか、通ると良いね!」

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