隠れ御曹司の愛に絡めとられて
午後一番の会議に備えて、資料や段取りを確認する。
本社の役員が子会社の役員を兼ねていることもあって、本社で子会社関連の会議をすることが時々ある。
今日の会議もそう。
確か食品関連を扱う子会社だったはずだ。
子会社から送られてきた資料をプリントアウトして必要部数揃えていく。
プロジェクターなども使うだろうから、その機材の確認も必要だ。
私はいつも通りの業務もこなしつつ、それらの準備もどんどん進めていく。
通勤時間が大幅に短縮されたことと食生活が万全だからか体調がすこぶる良くて、仕事がとてもはかどるのは喜ばしいことだ。
会議以外の他の仕事も同時進行でバタバタと仕事を片付けているうちにいつの間にかお昼休憩の時間を迎えていて、私はバッグからカエデくんが作って持たせてくれたお弁当を取り出した。
いつもは交代で休憩を取るけれど、今日は午後の仕事の関係で一緒に取ることになっていて、ふたり並んでお弁当を広げる。
「わ、野村さん、美味しそうなお弁当ですね!」
「あー、うん。一緒に住んでる子が作ってくれて……」
「同居人の方はお料理上手ですね」
「そうなんだよー。私は料理音痴だから、すごく助かってる」
「……あれ? 野村さんって、たしか一人暮らしって言ってませんでした?」
「んー、それが、最近同居し始めてねー、あはは」
同居と言うより同棲の方が正解なんだけど、ここは詳しいことを言わないでおく。