隠れ御曹司の愛に絡めとられて
「ふふ。晩ご飯、出来てるよ。すぐ温め直すから座って待ってて~」
「うん、ありがとう」
家庭的な和食がテーブルへと並べられていく。
楓くんの作る料理はいつもどれも丁寧に作られていて、本当に美味しい。
やっぱり楓くんは天才だ、と何度も感心して感動する。
楓くんに聞きたいことはたくさんあるけれど、せっかく手間ひまをかけて作ってくれたものだ、食事をしながらするような話じゃない気がして、いまは他愛もない会話をしながら食事を楽しんだ。
デザートを食べ終えて、楓くんと共にソファへと移動する。
私の気持ちなんて全てお見通しの楓くんは、「さて。何から聞きたい?」なんて言いながらふわふわと微笑んでいる。
「えっと……、今日の会議って……」
「うん。えっとね。お店の企画のこと、話したでしょ?」
「ああ、うん」
「それを子会社の方で正式に承認してもらうための会議だったわけ」
「……え? じゃあ……」
「うん。正式に動き出すことになりました~!」
「すごい……! 良かったね!!」
「うん、ありがとう~」
「頑張ったんだね……!」
ふわふわの笑顔で嬉しそうに目を細める楓くんが可愛くて仕方がない。
やっぱりどこか大型犬っぽくて、つい頭を撫でたくなるのを私は懸命に我慢した。