隠れ御曹司の愛に絡めとられて
御礼番外編
純白のドレスを身にまとい、私はいままさにバージンロードへと足を踏み出そうとしているところだ。
隣には私の父がいる。
そして――。
「……野村さん、私、緊張しすぎて、足が震えてきちゃいました……」
私と同じように純白のドレスを身に着けた可愛らしい花嫁がとても緊張した様子で声を震わせながら私に声をかけた。
「大丈夫だよー。私もいるじゃん。ねっ?」
私がそう返すと彼女は少し緊張が解けた様子で、小さく頷く。
「結麻さん、僕が責任を持ってエスコートしますから、大丈夫ですよ」
そう優しく声をかけたのは、篠宮取締役だ。
彼女――若月結麻は、取締役の言葉に小さく頷く。
私だってこれは初めての体験で、緊張しないわけではない。
真っ白な手袋の下は自分でも驚くほど指先が冷えていて、ブーケを握ったまま凍りついてしまいそうなほどだ。
けれども、私までガクガクと震え始めてしまうわけにはいかない。
一度ギュッと手を握りしめ、この場にいる人たちに気づかれないように小さく息を吐く。
……よし、大丈夫。
「若月ちゃん――ううん、〝お義姉さん〟。私も一緒にいるから、大丈夫。今日から私達、義理の姉妹なんだから。ね?」
「野村さん……。はい。よろしく、お願いします……!」
「うん。こちらこそ!」