隠れ御曹司の愛に絡めとられて
「ごちそうさま」
このところ朝目覚めるといつも、遮光カーテンが欲しいなと思うようになった。
今朝も微睡みながらそう思う……。
冬の朝の訪れはゆっくりで、まだ眩しいほどではないけれどそれでも部屋の全貌が見えるぐらいには明るくなっている。
目をこすりながら時間を確認すると、7時過ぎ。
会社までは片道1時間以上はかかるから平日なら確実に遅刻だけど、今日は土曜日でお休みだから大丈夫だ。
もう少しベッドの中でうとうとしようかな……、と思い、ふと昨夜のことを思いだして、一気に覚醒する。
ガバッと起きて、フローリングの床に足を着いた。
「冷たっ……」
古いマンションの床はいくらリフォーム済みでもびっくりするぐらい冷たくて、慌ててもこもこのルームシューズに足を突っ込む。
せめてもう少し断熱がしっかりした部屋に引っ越したいと思いつつも、家賃のことを考えると二の足を踏む。
実家への仕送りもしたいし、将来のための貯金もしておきたい。
これからの人生をひとりで過ごしていくのなら、老後のための貯金も必要だろう。
なんて、あれこれ考えていたら、おなかがグーと鳴った。
上着を羽織りキッチンへと向かう。