轍(わだち)〜その恋はお膳立てありき?
アニメや動画のプロデューサーだからといって、絵が上手とは限らない。
実際、牛乳瓶眼鏡の千紘が、会議の場や清乃の職場で、絵を描いているところなど一度も見たことはなかった。
というか、言葉を発することすらほとんどなく、滋子の秘書である春日に全てを代弁させていたという現状があった。
「プロデューサー···千紘さんも絵を描かれたんですね」
「まあな」
清乃は、自分の仕事に集中しようとするが、千紘の作業が気になって仕方ない。
目の端に映る限り、彼のペンタブの使い方は慣れているようで、全く迷いがない。
絶対に描き慣れている!と清乃は確信した。
「な、何を描いているのかな〜、千紘さんは」
「気になるか?」
「気になりますとも!」
「これは、アップデート時に出す、新エリアで登場する新キャラクターだ」
「!!」
何故、千紘が新キャラクターのひみつをしっているのか?ああ、プロデューサーだったわ、と清乃は納得した。
というか、早く見たい。そっちの気持ちの方がデカくて感情を抑えきれなかった。
正直、中身は俺様イケメンの描く素人絵なのだ、この際、絵のクオリティや再現率は度外視してキャラの魅力のみを見よう、と清乃は思った。
しかし、清乃は侮り過ぎていた、千絋を、そして滋子や春日のことを。
これまで、千紘は、頑なに人前で絵そのものの話をしなかったから、ゲームで言うなら“剣技は好きだが剣は振れない”文官タイプの人間だと思っていた。
しかし、清乃の予想はいい意味で大いに裏切られてしまった。
もはや、驚き過ぎて言葉が出ない。
裏切りどころかダークホースだった。
千紘が見せた新キャラに、キャラ萌えしてしまったのはもちろんだが、その絵柄と作風には見覚えがある、いや、あり過ぎた。
そう、それは間違いなく、
清乃が尊敬し愛してやまない狼犬《ウルハイ》の画風そのものだったから。
実際、牛乳瓶眼鏡の千紘が、会議の場や清乃の職場で、絵を描いているところなど一度も見たことはなかった。
というか、言葉を発することすらほとんどなく、滋子の秘書である春日に全てを代弁させていたという現状があった。
「プロデューサー···千紘さんも絵を描かれたんですね」
「まあな」
清乃は、自分の仕事に集中しようとするが、千紘の作業が気になって仕方ない。
目の端に映る限り、彼のペンタブの使い方は慣れているようで、全く迷いがない。
絶対に描き慣れている!と清乃は確信した。
「な、何を描いているのかな〜、千紘さんは」
「気になるか?」
「気になりますとも!」
「これは、アップデート時に出す、新エリアで登場する新キャラクターだ」
「!!」
何故、千紘が新キャラクターのひみつをしっているのか?ああ、プロデューサーだったわ、と清乃は納得した。
というか、早く見たい。そっちの気持ちの方がデカくて感情を抑えきれなかった。
正直、中身は俺様イケメンの描く素人絵なのだ、この際、絵のクオリティや再現率は度外視してキャラの魅力のみを見よう、と清乃は思った。
しかし、清乃は侮り過ぎていた、千絋を、そして滋子や春日のことを。
これまで、千紘は、頑なに人前で絵そのものの話をしなかったから、ゲームで言うなら“剣技は好きだが剣は振れない”文官タイプの人間だと思っていた。
しかし、清乃の予想はいい意味で大いに裏切られてしまった。
もはや、驚き過ぎて言葉が出ない。
裏切りどころかダークホースだった。
千紘が見せた新キャラに、キャラ萌えしてしまったのはもちろんだが、その絵柄と作風には見覚えがある、いや、あり過ぎた。
そう、それは間違いなく、
清乃が尊敬し愛してやまない狼犬《ウルハイ》の画風そのものだったから。