轍(わだち)〜その恋はお膳立てありき?
「あなたには優秀な血統書付きの息子、龍二専務がいらっしゃるではないですか」
「あ、あいつはお飾りであって所詮は無能だ。だからこそ、滋子と千紘を会社に取り入れて···」
「あら、先程と仰っていることが矛盾していますね。血筋と名声が全てではなかったのですか?血筋のあやふやな私と千紘さんは、今後一切あなた方とは関わらないと誓います。だから村瀬社長も言ったことには責任を持ってくださいませ。先程のご発言は、この通り録音させていただいておりますのであしからず」
血筋に汚れたも何もあるか!と清乃は思ったが、滋子と千紘にとっては何だか良い流れのようであったので、自然とブラック清乃から通常モードに戻っていった。
「これまで育ててやった恩を忘れたか!」
「あなたに育ててもらった覚えはあまりありませんね。私が恩を感じるのであればそれは母ですから。もうこれ以上は時間の無駄ですね。春日、ご退室願って」
「御意」
醜く叫ぶ映二社長を、春日をはじめとした黒服サングラスのメ○インブラック御一行が取り押さえ、素早くパーティ会場を後にした。
「皆様、ご歓談中に失礼いたしました。お聞きになった通り、グローイングは本日を持ちまして、渡瀬ソリューションズの傘下となります。また、私事ですが、私、村瀬滋子は渡瀬ソリューションズ社長、渡瀬拓夢さんと結婚いたしましたことをここに御報告いたします。今後とも両社両名共にご指導ご鞭撻宜しくお願い申し上げます」
ワアッという歓声に湧く会場。
清乃は思わぬ急展開に翻弄されながらも「まあ、滋子だからな」と、妙な納得をして、再び料理に向き直った。
「清乃」
「ん?」
ローストビーフを目下大人食い中の清乃は、何事もなかったかのように首を傾げる。
「後で話がある」
「ん」
でしょうね、とローストビーフを食みながら頷いた清乃を抱き寄せる千紘はいつになく晴れやかな顔をしていた。
「あ、あいつはお飾りであって所詮は無能だ。だからこそ、滋子と千紘を会社に取り入れて···」
「あら、先程と仰っていることが矛盾していますね。血筋と名声が全てではなかったのですか?血筋のあやふやな私と千紘さんは、今後一切あなた方とは関わらないと誓います。だから村瀬社長も言ったことには責任を持ってくださいませ。先程のご発言は、この通り録音させていただいておりますのであしからず」
血筋に汚れたも何もあるか!と清乃は思ったが、滋子と千紘にとっては何だか良い流れのようであったので、自然とブラック清乃から通常モードに戻っていった。
「これまで育ててやった恩を忘れたか!」
「あなたに育ててもらった覚えはあまりありませんね。私が恩を感じるのであればそれは母ですから。もうこれ以上は時間の無駄ですね。春日、ご退室願って」
「御意」
醜く叫ぶ映二社長を、春日をはじめとした黒服サングラスのメ○インブラック御一行が取り押さえ、素早くパーティ会場を後にした。
「皆様、ご歓談中に失礼いたしました。お聞きになった通り、グローイングは本日を持ちまして、渡瀬ソリューションズの傘下となります。また、私事ですが、私、村瀬滋子は渡瀬ソリューションズ社長、渡瀬拓夢さんと結婚いたしましたことをここに御報告いたします。今後とも両社両名共にご指導ご鞭撻宜しくお願い申し上げます」
ワアッという歓声に湧く会場。
清乃は思わぬ急展開に翻弄されながらも「まあ、滋子だからな」と、妙な納得をして、再び料理に向き直った。
「清乃」
「ん?」
ローストビーフを目下大人食い中の清乃は、何事もなかったかのように首を傾げる。
「後で話がある」
「ん」
でしょうね、とローストビーフを食みながら頷いた清乃を抱き寄せる千紘はいつになく晴れやかな顔をしていた。