轍(わだち)〜その恋はお膳立てありき?
「それよりも気になるのはあの勘違いお嬢様よね?父親である東原社長は常識のある方だけど、どうして娘はああなったんだか···」
「俺も良くは知らないが、なんでもあのお嬢様の性格に問題があるらしく、なかなか縁談が纏まらないらしい、と映二社長が言っていたな。それでも、お前には勿体ない縁談だとも言っていたが」
そんな事故物件とも言える人物を千紘に押し付けようとするなんて、映二社長の見る目がないことだけは証明された。
「今日、縁談を纏められそうになったから私をパーティに連れて行ったのね?」
「それもあるが、純粋にキヨノンは俺のものだと周囲に牽制する意味もあった」
清乃自身は気づいていないが、裏表のない凛とした清楚さを醸し出す清乃は、関係各社の関わりがある人物らから地味にモテていた。
清乃の性格と、千紘の独占欲を理解していた滋子と渡瀬、春日が、そういった輩を牽制していたからこそ、清乃はそのことにすら気付かずに、のんびりとお一人様を満喫できていたのだ。
「ふふ。それなら、私もあのいけ好かないお嬢様に、イケメンにキャラチェンジした千紘さんが私のものだってアピールできたから参加して良かったんだね」
と、清乃は笑った。
勘違いお嬢様は、自分を引き立ててくれる装飾品としてどれくらいの価値があるか、を基準にものを考える傾向にある(清乃調べ)。
だからこそあのお嬢様は、牛乳瓶眼鏡で陰キャ設定の千紘ディレクターはともかく、細マッチョイケメン鷹司千紘は“まあ、悪くないわね”なんてのたまったのだ。
それなのに“自分が認めてやった”にも関わらず拒否られて『プライドが許さない』と逆恨みしているだろうことは想像に難くない。
「映二社長もそうだけど、ああいう勘違い貴族は、短絡的な行動をとる可能性が高いから、絶対に何か仕掛けてくると考えたほうがいいわね」
伊達に中学生時代、あらゆるジャンルのお嬢様からの、様々なイタズラや嫌がらせにつき合わされてきてはいない。
色々と想像でき得る嫌がらせの数々に、清乃はうんざりしていた。
「十中八九そうだろうな。だが、相手は渡瀬や春日、滋子社長だぞ?黙っでやられるとは思えない」
確かに千紘の言う通り、彼らなら未来の先の先までも見越して、何らかの対策を練っているに違いない。
「でもね、ちいちゃんの周囲にも何らかの影響が出るかもしれないよ?それが心配」
「そんなことは素顔を晒した時点で覚悟はできてる。それに今の俺にはキヨノンがいるから大丈夫だろう?」
推しのドヤ顔、irreplaceable(かけがえのない)。
ちっぽけな自分でも大切な人の支えになれるのだ。
清乃は嬉しくなって、つい自分から千紘の唇にキスをお見舞いしてしまった。
そこからはなし崩し的に二人の世界へ突入。
言葉には言霊が宿る。
自分達が立てたフラグ(懸念)は、すぐに現実のものとなって回収されることになるだろう。
しかし、そんな未来が待っていることも忘れて、二人は甘い時間にのみ没頭し、一時の安寧を楽しむのだった。
「俺も良くは知らないが、なんでもあのお嬢様の性格に問題があるらしく、なかなか縁談が纏まらないらしい、と映二社長が言っていたな。それでも、お前には勿体ない縁談だとも言っていたが」
そんな事故物件とも言える人物を千紘に押し付けようとするなんて、映二社長の見る目がないことだけは証明された。
「今日、縁談を纏められそうになったから私をパーティに連れて行ったのね?」
「それもあるが、純粋にキヨノンは俺のものだと周囲に牽制する意味もあった」
清乃自身は気づいていないが、裏表のない凛とした清楚さを醸し出す清乃は、関係各社の関わりがある人物らから地味にモテていた。
清乃の性格と、千紘の独占欲を理解していた滋子と渡瀬、春日が、そういった輩を牽制していたからこそ、清乃はそのことにすら気付かずに、のんびりとお一人様を満喫できていたのだ。
「ふふ。それなら、私もあのいけ好かないお嬢様に、イケメンにキャラチェンジした千紘さんが私のものだってアピールできたから参加して良かったんだね」
と、清乃は笑った。
勘違いお嬢様は、自分を引き立ててくれる装飾品としてどれくらいの価値があるか、を基準にものを考える傾向にある(清乃調べ)。
だからこそあのお嬢様は、牛乳瓶眼鏡で陰キャ設定の千紘ディレクターはともかく、細マッチョイケメン鷹司千紘は“まあ、悪くないわね”なんてのたまったのだ。
それなのに“自分が認めてやった”にも関わらず拒否られて『プライドが許さない』と逆恨みしているだろうことは想像に難くない。
「映二社長もそうだけど、ああいう勘違い貴族は、短絡的な行動をとる可能性が高いから、絶対に何か仕掛けてくると考えたほうがいいわね」
伊達に中学生時代、あらゆるジャンルのお嬢様からの、様々なイタズラや嫌がらせにつき合わされてきてはいない。
色々と想像でき得る嫌がらせの数々に、清乃はうんざりしていた。
「十中八九そうだろうな。だが、相手は渡瀬や春日、滋子社長だぞ?黙っでやられるとは思えない」
確かに千紘の言う通り、彼らなら未来の先の先までも見越して、何らかの対策を練っているに違いない。
「でもね、ちいちゃんの周囲にも何らかの影響が出るかもしれないよ?それが心配」
「そんなことは素顔を晒した時点で覚悟はできてる。それに今の俺にはキヨノンがいるから大丈夫だろう?」
推しのドヤ顔、irreplaceable(かけがえのない)。
ちっぽけな自分でも大切な人の支えになれるのだ。
清乃は嬉しくなって、つい自分から千紘の唇にキスをお見舞いしてしまった。
そこからはなし崩し的に二人の世界へ突入。
言葉には言霊が宿る。
自分達が立てたフラグ(懸念)は、すぐに現実のものとなって回収されることになるだろう。
しかし、そんな未来が待っていることも忘れて、二人は甘い時間にのみ没頭し、一時の安寧を楽しむのだった。