素直になれない私たち

「でも南って女友達多そうだし、なんか意外。今まで彼女いたこと
ないの?」


「あーこいつ肝心な時にしくじるタイプだから」


「晴夏はちょっと黙っとけ、ところであかりは高校入ってまだ誰とも
付き合ったりしてないんだよな?てことはあかりは俺側の人間ってことで
いいんだよな?」


...ここでやっと翔平の助言?の意味が理解できた。

でも私は自分で思っているよりもずっと正直な人間だったらしい。
嘘をつこうにもすでに私の視線は宙を彷徨っていて、動揺しているのが
まるわかりだ。


「えーっと、」


その後の言葉が続かない私に、南は驚きを隠せずにいた。
この時私は気づかなかったけど、晴夏も私の発言に驚いていたようだった。


「嘘だろ...翔平だけでなくあかりまで、お前らの中学なんなんだよ、リア
充の集まりかよ」


「えっ翔平も済みってこと?」


南の話には全く関心のなかった晴夏が翔平の話には食いついてきた。


「アイツは目逸らして固まった」


心が荒みかけている南の声はすでに大きく、私と翔平の経験値が無駄に
周りに知れ渡るという地獄のような時間は5時間目の開始を知らせる
チャイムで幕を閉じた。


「あかり、今度うちに泊まりに来て」


「どしたの突然」


「聞きたいことが山ほどあるから覚悟しといて」


「...お手柔らかに」


自称今だけ休憩中の恋愛番長・晴夏の好奇心に火がついてしまった
みたいで、私は戦々恐々だ。


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