素直になれない私たち
「どっか寄って帰ろーぜ」
6時間目の授業が急遽先生の都合で自習となり、実質5時間目で切り上げと
なった火曜日、南の一言で私たちは4人で学校の近くにあるファミレスに
向かった。お茶する程度かと思いきや、南が席に置いてあるメニューを
真剣に吟味し、店員さんにサラダやピザなど次々に頼み始めた。
「さっきお昼食べたばっかりじゃん、どんだけ食べるの」
「育ち盛りなんだよ。とかいってシェアすりゃお前らだって食べる
だろ」
結局みんなドリンクバー付きでオーダーし、いざドリンクを取りに
行こうとしたら、先に席を立った翔平が俺が取ってくるからいいよ、
といって私を座らせた。晴夏も南に「私オレンジね」といって頼んで
いたけど、そういえば私、翔平に何を持ってきてほしいか伝えてない。
そんな心配をよそに、ドリンクバーから戻ってきた翔平はアイスコー
ヒーとミルクを2つ、私の席に置いた。
私は中学の時からミルクを入れたアイスコーヒーが好きで、翔平たちと
出かけた時もいつもミルクを2つ分入れていた。当たり前のように
その頃の好みを覚えていた翔平に少し驚いていると、翔平が「別のが
よかった?」と聞いてきた。