素直になれない私たち
「ううん、これがいい。ありがと」
そういうと、翔平も少しほっとしたような顔をした。
しばらくするとサラダが運ばれてきた。結構な量のグリーンサラダで、
上にはいくつものブロックトマトが乗せられている。取り分けを引き
受けた私は4つのお皿に均等に取り分けていく。南、晴夏の順にお皿を
渡して、3皿目には無意識にトマトを入れずに翔平に渡そうとした。
「あかり、それトマト入ってないよ」
あ、と小さい声でいった後に翔平の顔を見た。ごめん、といって
手に持ったお皿を引っ込めようとしたら、翔平がそのままでいい、
といって引き取った。
「俺トマト食べれないから、それもらう」
「えっそうなの?トマト系全部だめなん?」
「トマトソースとかピザに乗っかってるような細切れなら食える」
まじかー、とトマトの話を続けている南を尻目に私も翔平の好みを
覚えていることを実感していた。そして、翔平が私に何を持って
きてほしいか聞かずにアイスコーヒーとミルク2つを持ってきた
ことに気づいていた晴夏も、私たちの間に流れる微妙な空気を感じ
取り始めていた。