素直になれない私たち
サラダとピザ、ホットサンドをなんだかんだ4人で完食し、1時間くらい
ぐだぐだと過ごして私たちは解散した。全員バラバラの方向に向かった
かと思いきや、私と翔平の姿が見えなくなったところで晴夏はちょっと
来て、といって帰ろうとした南の首根っこを掴んだ。
「ねえ、翔平と恋バナしたことある?」
「翔平と恋バナ?アイツ自分の話はなかなかしないからなー、でも」
「でも?」
「1回アイツに聞いたことあんだよね」
なんでそんなに女子と距離置いてんのかって。ほら、クラスの親睦
会のヤツとかさ。今も翔平と付き合いのある女子ってお前とあかり
くらいだろ。たぶんその時ごまかしてもまた聞かれたら面倒だと
思ったんだろうな、と南が続ける。
「中学の時の失恋を引きずってるっぽい」
「失恋?」
「すげー好きだった子から理由もわからず突然切られたんだって。
スマホも変えられて連絡の取りようがなくなって、終了って感じ?
『それ以来誰も好きになれると思えない』っていってたよ」
「それっていつ頃の話?」
「中3の夏休み明けっていってた」
たぶんその子が翔平のファーストキスの相手だよなあ、と遠い目を
しながら南が呟いた。
「...ビンゴ」
えっ何が、と聞き返す南に晴夏があー何でもない、気にしないで、
と返した。その後も何かに納得したような表情の晴夏を南はずっと
不思議そうに見ていた。