素直になれない私たち

確かに晴夏と純希先輩は仲がいいとは思っていた。相手は先輩なのに
余裕でタメ口だし、話をするときの距離感も近い。でもそれは先輩と
後輩という気の知れた仲だからだと思っていたし、谷口先輩に対しても
8割くらいはタメ口な晴夏だから、この晴夏の告白に私は本当に驚いた。


中2の夏から1年くらいかな、と晴夏が話を続ける。


「先輩たちと遊んだ後に、純希先輩が家まで送ってくれるようになって、
いつのまにかそれが自然な流れみたいになって。夏休みにみんなで花火
大会に行った帰りに、『付き合おっか』っていわれたの」


「晴夏は純希先輩のことが好きだったの?」


「正直その頃は恋愛感情とかよくわかんなかった。その時は彼氏ができ
るってこと自体に興味があったのかもしれない。でも一緒にいると楽し
かったし、だんだんもっと一緒にいたいって思うようになって、きっと
これが好きってことなんじゃないかなって思ったの」


でも好きだって自覚したのはやっぱり谷口先輩からあの話を聞いたとき
かな、と晴夏はいった。

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