素直になれない私たち
それぞれの恋心 in 体育祭
「はい、では来週の体育祭、出場種目はこれで確定ね。みんなわかってると
思うけど、本気でアイス取りに行くよ!」
じゃんけんで負けて貧乏くじを引いた、と嘆いていたわりに全体を纒めて
みんなのやる気を上手く引き出しているのは体育祭実行委員のまっつんだ。
「はるかは高跳びかー、なんでもできて羨ましいよ」
「高跳びはいいよ、誰も気づかないうちに終わってるから」
うちの高校の体育祭は無駄に規模が大きく、毎年市内の陸上競技場を借りて
行われる。いわゆるトラック・フィールドでの一般的な競技と、借り物や
謎解きなどのバラエティーに富んだ内容が予定されている。クイズなどの
ネタを知っている実行委員をのぞき、原則全員1種目の参加が必須だ。
最後に行われる男子のリレーは100点もらえるので特に盛り上がる。
陸上部員は1人までならリレーに出場可能で、うちのクラスにも短距離の
選手が1人いるので勝てるのではないかと実はちょっと期待している。
ちなみに優勝賞品はクラス全員分のアイスということもあり、みんな子供の
ように頑張ってしまうのだ。
「私は公傷扱いで出られないけど、みんな頑張ってね!」
「公傷...?」
私は先日のハードル激突事件(?)による病み上がりということもあり、
今回の参加は免除となった。マスコットガールとして全力でみんなを
応援するからね、というと、はいはいいい子いい子、とまっつんが私の
頭を撫でた。