素直になれない私たち

「みんな、よく聞いて」


盛り上がった借り物競争も3年生のレースが終了し、グラウンドでは
後片付けと並行して最後の男子400mリレーの準備が続いている。
そんな中、実行委員のまっつんがクラスのみんなを集めて話し始めた。


「現状うちのクラスはなんと...全体の2位です!」


おお!とあちこちから声が上がる。


「そして現在の1位は、20点差で3年D組。と、いうことは...?」


「最後のリレーで勝つしかない!」


「そのとおり!」


最後のリレーで1位になったクラスにはお約束で100点、2位でも
50点入るので、1位になれば間違いなく優勝し、アイスは私たちが
ゲットできる。しかし現在1位の3年D組もリレーの決勝に残って
いるため、うちのクラスは3年生に勝たなければならない。


「でも3-Dって確か、運動部の精鋭が揃ってるんだよね」


「まあね、でもうちのクラスだって、サッカー部の伊藤と水野、
バレー部の加藤、そして帰宅部の期待の星、水上がいる!」


もはやまっつんは演説モードに入っている。そしてその熱い演説に
踊らされるちょろいクラスメイトたちは、まだ逆転優勝への望みが
残っているというドキドキの展開を迎え最高潮に盛り上がっていた。

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