素直になれない私たち
次の日、昨日の細川くんの話を聞いていた人たちはみんなソワソワ
していた。まっつんによれば、まっつんの友達は彼女の名前を知らな
かったそうで、今日学校に行って確認してくれるとのことだった。
「学年が違うとわかんないよね」
「うん、ただ白藤って1学年で8クラスもあるから、同学年でも知ら
ない子はけっこういるみたい」
そんな会話の後にまっつんは細川くんに『気長に待っててよ』と声を
掛けた。しかしその後まっつんは私と晴夏のところに来て両腕で私たち
2人をぎゅっと抱き、耳元でこっそり囁いた。
「実はね、もう友達とは連絡とれてるの。で、向こうからもこっちに
お願いがあるとかで、直接安西さんだっけ?細川の好きな子。その子
からの連絡待ち」
「マジで?向こうからのお願いって何だろね、気になる」
「女子高だし向こうも合コンしたいと思ってた、とか?」
「あー、人数は何人、どういうタイプの男揃えとけ、みたいなね」
「俺合コンってまだ1回も行ったことないんだよな」
途中から南が会話に割り込んでくる。興味津々といった感じの南
だったが、晴夏にふーん、とひと睨みされて『行ってみたいなんて
思ってないけどね!』と慌てて言い訳めいた独り言?を残した。