素直になれない私たち

放課後、細川くんは数名の男子を引き連れて急ぎ目に教室を後に
した。お目当ての安西さんを始め白藤からも4人の女子がうちの
学校の門の前で待っているらしい。


「晴夏、今日は翔平と帰るね」


「ちゃんと今まで言えなかったこととか全部ぶちまけてきな」


うん、と頷くと、私は提出物を出しに行った翔平が職員室から
戻るのを待った。南も何かを察しているのか、晴夏と一緒に私
たち2人を送り出そうとしている。やがて翔平が教室に戻り、
私たちは晴夏と南に別れを告げた。


私たちが教室を出てまもなく、まだ教室に残っていたまっつんが
ラインの着信に反応し、その内容を見て晴夏たちに声を掛けた。


「ねえ、水上ってもう帰った?」


「ついさっきあかりと帰ったよ。どうかした?」


まっつんがスマホの画面を晴夏に見せる。さっき細川くんと
一緒に出掛けた加藤くんからだった。


『水上に裏口から出たほうがいいって伝えて』


「『裏口』って、なんでだろ」


「さっきここ出たばっかだから、まだ下駄箱あたりにいるかも。
ちょっと行ってみるわ」


南がそういって教室を出て玄関に向かった。


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