婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました

「抜け抜けと、泥棒のくせに! この髪飾りを褒めていたから羨ましくてこっそりと盗んだのでしょう!」

「ジュリアナ嬢! 言葉が過ぎる! セリーナ心当たりは?」

「ございませんわ。それよりもこの髪飾りですが……イミテーションですわね。本物とは輝きが違いますもの」

「……そんなわけないでしょう! お父様が西の国から仕入れてきたものです。高価だと聞いてます」

「保証書はございますか?」

「ほら! そうやってバカにする!!」

「大事なことですわよ。保証書のない宝石ほど怖いものはありませんから。保証書が無く大金を支払ったのならその金額を誰が保証するのです?」


「これは! 西の国のお妃様が先の大戦で亡命した時に売ってお金にしたものです。保証書なんてありません!」

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