婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました

 久しぶりと言うか、今まではエスコートというよりはただジェフェリー様の後ろについて歩いていたという感じだったけど、エスコートを申し出てくれる事が嬉しかった。

「今まで悪かった。本当にすまない」

「いえ、私も勘違いしていて……ジェフェリー様が他にお好きな方がいらっしゃると思っていたから」

「それは本当に誤解だ。何度も言うけど十年前からセリーナしか好きではない」


「…………ジェフェリー様はわたくしが思っていたよりもお話をされるのですね。ずっと嫌われていたと思っていたから、知りませんでした」

 副学園長先生相手にも堂々としていてカッコよかった。ジュリアナ様に名前呼びをされていたのは許可をしていなかった。私だけは特別で……それが嬉しかった。

 貴族の子女なら誰でも分かる。勝手に名前を呼んではならない。許可を得てからお互い呼び合うのだけれど、平民の方は家名がない人もいるから、ナチュラルに名前で呼んでしまっただけなのかもしれませんね。

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