婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました
「何を言っているんだ? イミテーションに決まっているだろ? こんな大きなエメラルドはたとえ王族でも中々手に入らない品物だ。うちで仕入れた商品をジュリアナが身につけて宣伝する為に渡したんだ」
首飾りや耳飾りならまだしも、髪飾りにここまで立派な宝石を使う事は中々ない。それほどの品物。
「じゃあ西の国の王妃様が~って言う話は?!」
なんか色々と由来? 的なものを言ってたわよね! と言う顔で父を見ていた。
「このエメラルドの大きさを語る上で、ありえない話だと言う喩えに決まっているだろう? 王妃様は国民思いの方だ」
「……それじゃ私の勘違い……酷いじゃない! お父様のせいで恥をかいたじゃない! 恥ずかしくて学園にも行けない!」
「……うちがイミテーションの宝石を扱っているのを知っているだろう? 最後まで話をちゃんと聞かないからだ」
「いつもは本物をくれるもの!」
「うーーん。困ったな……」
「仕返しをしてよ! セリーナ様の屋敷に食品を卸さないで! 食べる物が無くなって家族がひもじい思いをするといいわ! 他の品物も手を回してセリーナ様の家にいかないようにして! 土下座をして謝るか、ジェフェリー様の婚約者を降りるか選ばせるのよ!」
「ジュリアナに恥をかかせたのか! よし分かった。この街一番のフロス商会を敵に回すとどうなるか目にモノ見せてやろう!」
さすがお父様話が分かるわね。目にもの見せてやるんだから! 誰を敵に回したか後悔するといいわ!