婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました
「そういえばジュリアナ様のお家は何をされていますの?」

 ダニエルさんに聞きました。

「ジュリアナさんの家は、確か、」

「商会を営んでいます!」

 ジュリアナ様が元気いっぱい話しかけて来ました。


「まぁ、そうでしたのね? 商会では何を販売されていますの?」

 商会と言ってもピンからキリまで。セリーナの家とは関係がないようで名前はしらなかった。


「うちは王都では珍しい外国産の布や食器を扱っていますが()()()商売をしています。食品も貴族様の家へ下請けのものが行っていますし西の国とも交流があります」

「まぁ! 素敵ですわね」

「えぇ、市街でうちの店を知らない人はまずいません。そこの二人の家とは格が違いますね」

 ジュリアナがチラリとダニエルとサムをバカにしたような目つきで見ていた。


「あら、そうでしたのね。不勉強で申し訳ございませんでした」

 セリーナが申し訳なさそうな顔でジュリアナに言った。


「おい、ジュリアナさん!」

 ダニエルとサムがジュリアナに反論しようとした。自分の家の事はどうあれセリーナが謝る必要は全くないからだ。
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