婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました
ダニエルさんのおじいさまは、味に絶対の自信がありますのね。伝統の作り方を変えたり作業効率が多少悪くても、おじいさまがプライドを持って作っているなんて素晴らしいことですわね。お父様も驕って味が変わったら取引はしないと仰っていたもの。手広く商売をするということはどこかに綻びが出てくるという事ですね。
「素晴らしいおじいさまですわね。いつも美味しくいただいていますので、お礼を伝えてくださいませね」
「はい! ジィちゃんがこの話を聞くと大喜びですよ」
「ふーーーーん。やっぱりあなたの家が邪魔していたんだ!」
「ジュリアナ様? ご機嫌よう」
と言いながらもなんだか機嫌が悪そうですわね。どうかされたのかしら?
「あなたの家のせいでうちがどれだけ被害を被っているか分かりますぅ?」
「なんのことでしょうか? 仰っている意味が分かりませんわ」
首を傾げる。ジュリアナ様の家が被害? 何のことでしょう?
「わざとらしい! こんなくだらない男どもを褒めたりして調子に乗らせて! 貴族様のお遊びかしら!」
「ジュリアナ様、少し落ち着いてください。クラスの皆さんが驚いていますよ」