婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました
「何? 本当のことでしょう? 私のうちは家庭教師を雇って勉強をしたけれど、あなた達は教会でコツコツ勉強してたでしょ! 格が違うのよ」

 ふん。さも当然と言った感じで胸を張るジュリアナ。

「教会はそう言った活動をされていますのね。存じませんでしたわ」

 セリーナがダニエルとサムに言った。

「僕たちのような家では教師は雇えませんから……ボランティアの先生に教わりました。中には貴族の方もおられました」

 セリーナの質問に答えるダニエル。

「そうでしたのね。一度その教会へ行ってみたいですわ。ですからお二人とも言葉遣いもしっかりされていますのね。おうちのお仕事をして、お勉強もして頭が下がる思いですわ」

「はい。機会があれば是非」

 ダニエルとサムは機会があればと答えた。そんな日が来る事はない。そう思っていたがセリーナとの会話だと思いそう答えた。


「今日も有意義なお話を聞くことが出来ましたわ。とても為になりました。ありがとうございました」


 今度その教会へ行ってみましょう。そうだわ。筆記用具や本を寄贈するのも良いのかもしれませんわね。セリーナは思った。
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