婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました
はぁ? 退学ですって? 優秀なこの私が?! 学園長室に呼ばれて急にそんなこと言われて納得する筈ないわよね! だって私は特別だもの。
きっと何かの勘違いでしょう? 優秀だからこの全寮制の学園に入学できたのに? この私が?
どいつもこいつもばっかじゃないの!
「理由を聞かせてもらえますか? 心当たりがありません」
にこりと笑顔を見せる。私の笑顔は無敵なの。街のみんなは私の笑顔の虜。
「君も分かっているだろう。学園の秩序を乱す行為は禁止している」
「私は身に覚えがありません!」
秩序を乱すとか? 何のこと?
「婚約者のいる者と仲良くすることは秩序を乱しているとは思わないかい?」
「あら、お言葉ですけれど、その考えは古いですわよ? 今は自由恋愛が主流ですのに」
「主流か……君はそれでも良いかもしれないが、家と家との結びつきを敢えて壊す様な真似をしたら、その家だけではなく、国のバランスが崩れて国内で争いが起きるかもしれない。ましてや殿下はランディ侯爵令嬢との結婚を強く望んでおられる。結婚できないのならまだ小さい弟に王太子の座を譲るとも言っていた。するとどうなる?」