婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました
「噂はあくまで噂であれば良い。王族の暮らしを公開する訳なかろう。そんな事をしたら良からぬ輩に餌を撒く事になるではないか。噂、いや想像をまるで真実だと面白おかしくネタを提供する様な輩が一番好かん。王族とはただ着飾って遊んでいるだけではない。王は毎日執務に外交にと忙しくしている。今度お前たちの街が整備がされるのは知っているか?」
「えぇ、知っています」
ふふん。と鼻を鳴らした。本来なら数年後と言われていた工事でしょ? 知っているわよ、バカにして!
「それはジェフェリーが手配しておる」
「ジェフェリー様が?!」
え! もしかして私の為に? 馬車で移動できないところもあって不便だったもの。ちゃんと考えてくれているのね! うちのすぐ目の前だもの。顔がにやけるのがわかる。
「薄気味悪い顔をして何を考えているのか知らんが全く違うぞ。ジェフェリーは学生でありながらも立派に執務をこなしていると言う事だ。王族としての義務を果たしている。表には出さないが我々は国を良くする為に日々努力をしている」
「貴族のそう言うところって嫌いだわ」
表に出さない努力って何よ? 堂々と自慢しなさいよ! そうじゃなきゃ分からないからっ!
「お前は貴族ではないから分からないだろうな。政治をするにあたり感情を表に出すという行為はマイナスになる」
「だから貴族の人たちは薄ら笑いをしていているのね」