婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました
ジェフェリー様はスーハースーハー…………と息を整えてからよし! と私の前に跪きました。そしてわたしの手を取り
「セリーナ・ランディ嬢、今まで君に失礼な態度をとっていた事を心から詫びます。君と出会って婚約をして間もなく十年が経とうとしています。今までもこれからも私の一番は君なんだ」
真っ直ぐに私の目を見て告白してくださいました。その事が嬉しかったのです。私はジェフェリー様と目を合わせてお話をしたかったのです。
「わたくしもジェフェリー様が一番ですわ」
にこりと笑って手を重ねました。ビクッとするジェフェリー様はまた呼吸を整えて、わたしの膝に一旦手を置いて、ポケットの中から何やら小箱を取り出し、用意してくださったドレスと同じ紫色の宝石のついたリングを、私の指にそっと嵌めてくださいました。
「綺麗ですね。ジェフェリー様の瞳の色ですね」
改めて付けてくれたリングを間近で見る。
「セリーナの瞳の色も紫だから……」
もう一箱ポケットから出してきた。
「セリーナ私の指にも嵌めてくれないか?」
お揃いのリングでした。ジェフェリー様からリングを受け取り緊張しながらジェフェリー様の指に嵌めました。