婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました

 そして少し指が震えてしまいました。ジェフェリー様もこの緊張感の中で告白をしてくれたのだと思うと、胸が熱くなりました。


「婚約して十周年だから少し奮発したんだ。気に入ってくれると嬉しい」


 多分ですが少し奮発どころではないような……


「少しは格好付けたくて、今までごめん」


 照れながらもきちんとお話をしてくださるジェフェリー様を見ると胸のあたりがぽかぽかとしてきました。


「十分かっこいいです。知りませんでしたもの、ジェフェリー様がこんな事を考えていてくれたなんて……すごく、嬉しいです」


 感動して涙が込み上げてきました。私に興味がないと思っていたのに、この部屋にあるもの全てが私の好きなものばかりです。


 私が欲しかった言葉も貰えました。なんて素敵なんでしょう……


「ありがとうございます。ジェフェリー様」


 涙を浮かべながらなんとか笑顔を作って感謝を伝えると、目を逸らされましたわ。それが少し寂しくてジェフェリー様の手を取りました。ジェフェリー様の手は大きくて温かいです。




「不意打ちのセリーナの笑顔が可愛すぎて尊い……」

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