婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました

「怪我の具合はどう?」


 ランチを一緒にとジェフェリー様が私に用意してくださった部屋に来ました。


「だいぶ良くなりました。包帯も取れましたよ。右腕がまだ少し……ですけど、治りましたら私もジェフェリー様のお手伝いをさせてくださいね」

 歩くと少し違和感はありますが、痛みはありません。右腕は動かすとまだ少し痛みが走ります。


「良いの? 意外と大変なんだよ」


「少しずつですけれど、ジェフェリー様のお力になりたいのです」


「ありがとう。助かるよ」


 ジェフェリー様はあの告白以来、二人で過ごす時はかなり私を甘やかしてくれるようになりました。

 まだぎこちないところもありますけれど、とても優しくしてくださいます。

 側近の方と話をする時や、他の方と話をしている姿を見ると皆さんから慕われている事がよく分かります。

< 148 / 162 >

この作品をシェア

pagetop