婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました

「あぁ、それは全く関係ないよ。成績不振がまず理由だ。とても口に出せるような成績ではなかったようだよ。一般の生徒のボーダーラインの遥か下だった。遅かれ早かれ退学になっていたよ」


「まぁ! そうなのですか」


「学園にはルールがあってそのルールを守らなければ退学になる」


「はい」


 入学の際に学園の規則を読みサインをしましたわね。


「成績のこともあるが、セリーナを怪我させた事や、侮辱する行為、そして反省が見られなかったとの事だ。学園長から説明を受けた」



「学園長様がそのように判断されたのなら、仕方がございませんわね」


 学園長様は王族です。国の将来の為に優秀な平民を学ばせたいと陛下と話をされて、学園の事を一任されています。

 学園長様はとても人格者であり、教育熱心なお方ですもの。学園長様が決めた判断に異を唱えることはもちろん致しません。


「それで…………フロス商会がまた……」


「なんですの?」

 歯切れが悪そうです。フロス商会といえばジュリアナ様のご実家。最近世間を騒がせています。


「違うゴシップ誌に事実無根の事を証言したんだ」


 バサっと新聞紙を出してきました。



【王立学園の学園長はワンマンだ!】

【王太子と平民の身分差婚を阻む権力】

【王都一のフロス商会の経営を邪魔するランディ侯爵を許すな!】

【王太子の婚約者は贅沢病で税金を搾り取っている】

【ジュリアナ嬢の強制退学の裏側】



「まぁ……! この記事を市民は信じて喜んでいますの?」



「いや。そっぽを向いている」

 そう言ってジェフェリー様は笑いました。


「違う新聞だ。これはちゃんとした所が発行しているから信頼度も高いよ」


 別の新聞を出してきました。



【フロス商会で働いていたAさんが告発!
フロス商会で起きていたこと────】
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